葬儀のお花代(はなだい)はふたつの意味で使われます。
- 業者に支払う生花代金
- 香典の代わりとして遺族にお渡しするもの
それぞれ渡す相手や意味が異なるので、状況に合わせて使い分ける必要があります。
花代の意味の説明から、書き方や包み方のマナーまでをご紹介します。
葬儀で仏前へ供える「供花の代金」
一般的なお葬式では供物として贈る生花(供花)の代金のことを花代と呼び、世間のイメージでもおそらくそれが先行しています。
供花を注文する時間は早ければ早い方が良く、通夜の開式に間に合うように手配するのが理想的。
知らせを受けた時点で手配の準備に取り掛かりましょう。
知らせを受けたタイミングによっては供花の注文が間に合わない場合もあります。
そういった場合は通夜に間に合わなくても、翌日の告別式に間に合うように手配しておけば問題ありません。
供花代金は一般参列者等の立場なら1万円から1万5千円で、身内にあたる人なら1万5千円から2万円あたりが相場となります。
一方で香典の代わりとして包む花代は、金銭を包みますが香典とは切り離して考える必要があります。
近年の香典には遺族が負担する葬儀代金の足しにしてもらおうという意味を込めてお渡ししますが、花代は供物として注文した生花代金であり花屋や葬儀屋に対して支払うものだからです。
よって、香典とは花代は別々に包んで準備する必要ががあります。
- 香典→遺族へ
- 花代→業者へ
また、葬儀に参列できなかった人が後日、香典の代わりにお花代として包んでこられることもあります。
なかには業者からの持ち込みNGとなっている葬儀屋もあるので必ず確認してから注文しましょう。
香典の代わりとして包む「お花代」
家族葬にて葬儀を執り行う場合、親族以外には周知をせずに行われます。
そのため参列者からの香典を辞退していることが多く、受け取ってもらえません。
そういった場合には渡さなくてもマナー違反とはなりませんが、どうしても何か渡したいというときに香典の代わりとして供花を贈ったり、祭壇に使われている生花の代金という名目で包んで渡すことができます。
近い親族の葬儀に包むお花代は3万円から5万円、知人やお仕事の関係者の葬儀には5千円から1万円程度が相場です。
時代の流れで家族葬が主流となってきている現代、このように香典を断られるという状況が間違いなく増えてきます。
香典マナーはもちろんのこと、花代についての知識も身につけておきましょう。
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枕花・花輪を花代と呼ぶこともある
例外となりますが、以下のものを花代と呼ぶこともあります。
枕花(まくらばな)
納棺まで安置されている間のお供え物を置く枕飾りの一部として供えられるお花のことを枕花といいます。
宗教的な意味や、お布団に寝ているだけの状態では殺風景なためといった理由から飾られています。
自宅にて安置されている際に飾られるので一般参列者はほぼ見る機会はありません。
枕飾り自体が簡易的なものなので、枕花も小さいつくりのものが一般的です。
金額は5千円から1万円前後で、基本的には遺族が負担する葬儀代金に含まれていますが、別途注文しなければならない場合もあり、そういった場合には故人と近い関係にあった人が送るのが一般的です。
宗派だけではなく地域によっても枕飾りの内容はことなるので、自分で花を活けるよりも葬儀屋などの業者に頼む方が確実です。
花輪(はなわ)
式場外の入り口付近に備える大きな弔事用の花輪の代金を花代と呼ぶこともあります。
元々は生花を挿して一基ずつ手作りされていましたが、いまは造花でできたものをレンタルして飾るのがほとんどです。
金額は1万円から2万円が相場で、個人や団体の名札を付けて飾られます。
供花と同じく通夜に間に合うように手配し、故人と親しい人のものが入り口側に飾られることになります。
花代の包み方とマナー
お花代を包む のし袋(封筒)
不祝儀袋か白無地の封筒に包みます。
白の無地の封筒ならどの宗派でも使えますが、蓮が載っているものは仏教にしか使えません。
書き方は表に「御花代」
表書きには薄墨で「御花代」と書きましょう。
神式やキリスト教の場合は「御花料」や「献花料」等と書きます。
ご遺族に渡す場合には裏側に金額(漢数字)と送り主の指名・住所を記載します。
渡し方
基本的には花屋や葬儀屋に注文して手配してもらいますが、喪主や遺族を経由して注文して喪主が立て替えている場合には喪主へ渡します。
業者に直接支払う場合は通夜か告別式に参列した日に事務所で支払うか、後日指定の振込先に振り込むのが一般的です。
業者によって異なるので花屋や葬儀屋のスタッフに聞いてみましょう。
喪主経由で注文した時は受付にて渡すこともできます。
香典とは別でお花代を渡し、喪主へ渡してもらうように頼んでおきましょう。
頂いたお花代のお返し
花代のお返しは香典返しと同様に半返しでかまいません。
品物などを返しましょう。
お葬式で頂いた供花をはじめとした供物は、すべて葬儀屋にて手配されているものならすぐに一覧をもらえますが、業者の持ち込みが混ざっているときには後から確認しやすいように名前を控えておくか、開式前に写真を撮っておきます。
葬儀屋や花屋に供花の金額を確認して、香典返しと同じようにお茶や海苔、タオルなどを贈れば問題ありません。
金銭で受け取った花代に返礼が不要と記載があった場合でも、礼状を送るか電話を入れるなど受け取ったことを伝えるお礼の連絡は必要です。
また供花に対してのお返しをすぐにはせず、頂いた家に不幸があったときに供花を贈り返すという地域もあります。
お花代のお返しは地域性により習わしが異なるため確認しておいた方がいいでしょう。