終活年賀状とは、翌年以降の年賀状を辞退することを伝えるための年賀状のことで、「年賀状じまい」とも呼ばれます。
終活の認知度の高まりにより、様々な身辺整理が行わる中で年賀状のやり取りを見直す人も増えています。
65歳以上の高齢者へのアンケートによると終活年賀状を受け取ったことがある人が半数を超えています。
- 今後出さない旨が書かれた年賀状を貰ったことがある:57.1%
- (終活年賀状を)出したことはないが興味がある:62.8%
※65歳以上191人を対象としたアンケート
毎年年賀状を送るのは金銭的にも労力的にも負担がかかるものであり、インターネットやSNSでいつでもやりとりができる現代では年賀状を送り合う風習は減少傾向です。
そのような背景の中で終活の一環として年賀状のやり取りも整理しようとするのは当然の流れでしょう。
早い人では40代、50代から「年賀状を辞める」旨を伝える方もいらっしゃいます。
ここでは終活年賀状を出す場合の文面例や、縁切り状となってしまわないような注意点などについてまとめます。
終活年賀状で年賀状の付き合いを辞退する理由
年賀状を辞める理由は人それぞれでありますが、「なんとなく辞めます」とは言いづらいです。
終活年賀状の文面にも「○○という理由で辞退させていただきます」と書きますので、自分なりにどのような理由で年賀状を辞めるのか考えてみましょう。
年賀状そのものが下火
ネットの普及や価値観の多様化により、年賀状を送るという文化が衰退しています。
消費税増税に伴い、年賀状も1円値上がりし1枚63円となりました。
年賀はがきの発行枚数は平成31年分は約25億5900万枚とピーク時の3分の2以下だそう。
日頃、直接顔を合わせない間柄であってもお互いのSNSなどを見ることで近況がわかります。
また、現代では携帯電話・スマートフォンを持っていない人はいませんので、いつでもどこでも繋がることができます。
そんな環境において、わざわざ年賀状を出す必要性が薄れているのは確実です。
高齢化により負担が増える
日本はいまでも平均寿命が伸び続けており、国民全体の高齢化が進んでいます。
健康的に長寿になるのは喜ばしいことではありますが、どうしても長く生きるほど体に支障が出てきます。
手足が不自由だったり、目が見えづらいとなると年賀状の作成も一苦労です。
「高齢になったため」「年齢を考えて身辺整理のため」に終活年賀状を送るのは重要な理由の一つです。
単純に年賀状は面倒くさい
正直なところ、単純に「年賀状の風習が面倒で辞めたい」と感じている人は少なくないでしょう。
https://twitter.com/h8686a/status/1202549824286969856
「面倒なので辞めます」と言うわけにはいかないので、年賀状じまい・終活年賀状という形式をとるのが便利です。
内心は面倒ごとから開放される目的でも全然ありです。
終活年賀状の書き方・文例
お健やかに新春をお迎えのこととお慶び申し上げます
平成から令和へと時代も移り変わり私(私共)も高齢となりました
そのため誠に非礼ながら毎年の年賀状は控えさせていただきたく存じます
これまであたたかい賀状を賜りありがとうございました
今後とも変わらぬお付き合いを申し上げるとともに
向寒のみぎりくれぐれもご自愛なさいますようお祈り申し上げます
- 新年の挨拶
- 近況報告
(ここで年賀状の辞退理由を匂わせ) - 年賀状じまいをする旨を伝える
- 年賀状以外のお付き合いは継続したい旨を伝える
(縁切り状にならない用に) - 締めの挨拶
40代や50代などで高齢を理由にできない場合は「多忙のため」など忙しさを表す場合もあるようです。
もっと文例を見たい方は、年賀状印刷のアルファプリントサービスさんが公開されているものが参考になると思います。
終活年賀状のはがきデザインは通常の年賀はがきで良い
終活年賀状で使用するデザインや通常の年賀はがきと変わりません。
かしこまった内容や相手方との関係性においては、ややフォーマルなデザインを用いても良いかもしれません。
年賀状でなく寒中見舞いで年賀状じまいをするケースも
年賀状じまいを伝える旨を「年賀状」ではなく「寒中見舞い」で行うのを良しと考える方もいらっしゃいます。
- 年賀状は通常どおり送る
- その後、寒中見舞いで年賀状を辞退する旨を伝える
特に決まりはありませんが、新年早々「縁切り状」をもらいたくないと考える人もいる様子。
相手との関係性や、自身が年賀状・寒中見舞いに込めている意味合いを考慮して最適なタイミングを伝えると良いでしょう。
終活年賀状を送るタイミング
終活年賀状を送るタイミングは人それぞれ。
基本的には思い立ったタイミングや、終活を考えるタイミングで行うと良いでしょう。
「喜寿(77歳)」「米寿(88歳)」などのきっかけで行う
長寿を祝う区切りの年齢をきっかけとして年賀状じまいをするのも一つ。
「いつでもいい」と言われても、何かしらきっかけがないと行動しづらいのが人間です。
節目となる年齢に差し掛かったタイミングで終活を始めると、本人としても動きやすいですし、相手にも変化を伝え易いですよね。
- 60歳:還暦
- 70歳:古希
- 77歳:喜寿
- 80歳:傘寿
- 88歳:米寿
40代・50代で終活年賀状を送る人もいる
終活年賀状という名称のため、高齢者の行為のようなイメージがありますが、40代や50代で年賀状じまいを考える人もいます。
この場合は、高齢を理由にすることはできませんので別の理由を考える必要がありそうです。
本音としても「単純に面倒くさいから辞めたい」が大部分です。
とはいえ、面倒なので辞めますとは言えませんので「多忙」を理由に使う場合が多いでしょう。
60代以上と違ってスマートフォンやSNSの使用率は絶対に高いはずなので「今後はLINEにてご挨拶させていただきます」という代替案の提示ができます。
終活年賀状をもらったら?
終活年賀状をもらった側は、来年から年賀状を送るのを控えるだけです。
かしこまった関係性であれば、終活という理由の裏に本音として別の理由もあるかもしれませんので、相手の気持ちをくんで受け入れましょう。
仲の良い間柄であれば、了解した旨を普通にメールや電話でやり取りするので問題ありませんね。
そもそも、普段からよく会話する仲であれば、口頭で「年賀状を辞めようと思う」と相談すれば済むので、わざわざ終活年賀状を送ることはないかもしれません。
終活年賀状の注意点
縁切り状と捉えられる可能性
あくまでも年賀状じまいであり、人間関係を断つわけではありません。
しかしながら、それをどう受け取るかは年賀状をもらった側の判断。
年賀状のやり取りを重要視する人であれば不快に感じたり、寂しく思う可能性はあります。
年賀状を辞める代わりに終活ノートを活用する
本人が亡くなった場合に「生前に付き合いのあった人リスト」として年賀状が活用されます。
年賀状を見て、葬儀の知らせなどを送る場合はギリギリまで年賀状のやり取りがあった方が遺族としては助かる場合もあります。
#年賀状 今日、終活年賀状ってのテレビでやってたけど、
遺族が「誰に知らせたらいいの?」って時、年賀状が頼りなので
終活するなら年賀状はやめない方がいいと思うけどな— 川島 純子 (@kojika_haruno) December 5, 2019
終活の一環として年賀状じまいをするのであれば、合わせて知人・友人のリストを終活ノートなどにまとめておいた方が良さそうです。
終活年賀状で年賀状じまいをしよう
印刷屋さんでも終活年賀状用のデザイン・文面を用意してくれているところもあります。
終活の身辺整理の一つとして是非検討してください。